MY STORY

私のストーリー(気まぐれ日誌)

2021-09-08

第十二章:【アカデミーのスタート / ZAKKA SHOW】

前章の阪神淡路大震災をきっかけに香りのビジネスだけで生活できるようにする決心をして数か月後

1995年夏

この年の1月17日に起きたあの大震災「阪神淡路大震災」の影響はもちろん甚大でしたが、被害を受けられたお客様たちの再起は想像以上に早く、その復興は目を見張るものがありました。

人と人とのつながりが改めて大切だということを知るきっかけにもなり、ボランティアの活動が国内外問わずいろいろなところから沸き起こってきたことを思い出します。

私は京都にいましたのでそこまでの被害は免れたのですが、そんな神戸の人々に負けないようにこの新しいビジネスを精いっぱい頑張ることを心に誓いました。

香りの教室の開校

一昨年からスタートさせた香りのビジネスですが、まず私は24色のフレグラントビーズを使っての「香りの教室」を出張ベースで始めることにしたのです。

 

ここで皆様には説明をしておきますが、私たちの香りのブレンドづくりは他社とは少し違っています。カラフルな色のついた固形のビーズをそのレシピとして使用します。

ローズは赤、レモンはイエロー、というようにすべての香りのビーズには色が付けてあります。

そのビーズを透明のガラス製のビーカーに入れて混ぜ合わせてブレンドの香りを作ってゆく仕組みです。

西は九州博多から、東は東京まで、お客さまの売り場の一角をお借りしての教室です。

最初は東急ハンズさんや阪急百貨店さんの売り場のエンド什器の前に、机一台と椅子一脚をお借りしてのスタートでしたが、誰にも振り向いてもらえずに悲しい気持ちで一日を終える日も多かったと思います。

「自分は何のためにこんなことをやりだしたのだろう・・」とか「これは本当にビジネスになるのだろうか・・?」と落ち込んでばかりいたように思い出します。

フレグラントビーズの反響

一方で商品づくりの方も同時進行で進めていましたが、こちらは次第に売り場も少しずつ広がってゆきました。

そして、社員が一人二人と増えてくるにつれて、私たちは必ずペアで出張してそれぞれの役割を決めることにしました。

店頭での実演をただ見せるだけでは反応は薄いため、占いをするように机の前にも椅子を置いてお客様を勧誘して座っていただけるようにしました。

後はマンツーマンスタイルでお客様に質問をしながら、その場でビーズを選んではビーカーに入れてゆきオリジナルのフレグランスを作るという作業に変えたのです。

「お好きな色は何色ですか?」「お好きな果物は?」「ファッションブランドで一番のお気に入りは何ですか?」というようにお客様の嗜好を質問してゆくというスタイルです。

当然ですが、社員には出張前には必ずその香りづくりのシュミレーションを何度となく試行させました。 すると変化が起こりました。

座っているお客さまの後ろに取り囲むようにして他のお客様たちが集まってくるのです。 こちらがお声かけをすると「そのビーズは何なの?」「香りがついているって?何の香りですか?」という風に質問が飛び交うように活気づいてきたのです。

その時の楽しさや嬉しさは、今までの苦労が嘘だったかのように感じました。 お客様にとっては、「どこにも販売していない自分だけの香り」を無償で作ってもらえるのですから、皆さん大変喜ばれました。

当然ながらこれではビジネスにはなりませんが、すぐ横の棚には10gずつ小分けのパックになっているそのビーズのレシピを販売してるので、中には気に入って頂いてそのレシピの数だけビーズが売れたりもしました。

しかし私たちの目的はその売り上げだけではなく、すこしでも多くのお客様に知っていただくことの方を大切な目標としていましたので、大勢のお客さまと相対峙する経験は大変勉強にもなりましたし、何よりも増してお客様たちの嗜好性のデータの蓄積は私たちの以後の財産として今でも大切なものであると思っています。

そんな時、ひょんなきっかけから当時では大変珍しい異業種の合同展示会に参加させていただくことになったのです。

事の発端は、Hi-Holidayという雑貨屋をやっていた時に知り合った和雑貨のメーカーの社長(㈱羅工房の中尾さん)から連絡をもらったのですが、彼からの相談は以下のようなものでした。

「髙木さん!今日うちを訪問してきた同業者の男性から一緒に展示会をやりませんか?と誘われたんやけど・・・どう思いますか?」

「どう思うって?」

「同じ和雑貨をやっていて、いわば競合会社やのに一緒に展示会をするメリットがあるのかどうか?迷ってるんやけど・・。」「いつも勉強させてもらっていますって!そんなことも言われたわ!」「髙木さんも一緒に展示会参加するなら考えようかなと思って。」

「そうなんや!うちは洋モノが主体やから、被らないし、いいけど」

そんなやり取りをして、結局私たちは参加することに決めました。

ZAKKA SHOWへの出展

グリーン関連の会社、木枠のインテリアフレームの会社、和雑貨の会社が2社と、そして香り雑貨のアートラボの5社で ZAKKA SHOWというタイトルで京都と東京で2回合同展示会を開催しました。

企業の枠を超えて、みんなで展示会のテーマ作りから内装、DMの製作に至るまでまるで学生のクラブ活動のようにして上下関係もなくワイワイいいながらの展示会でした。

それぞれの既存のお客様を紹介しあったり、またお客様からのリクエストによっては商品の仕入れを代行したりと、大変有意義な展示会となったことを思い出します。

25年も昔のことですが、当時としてはとても斬新な企画でした。

雑貨が好きでみんなが集まったような展示会でした。

日本ではじめて和の雑貨をお洒落なお店として世に知らしめたと言っても過言ではないWARAKUYA OKAME(我楽屋 おかめ)を立ち上げた濱中氏(現:㈱ジャパンアクセント代表)がその発起人でしたが、立役者となって最後まで皆をリードしていただきました。

20年以上の空白を埋めるようかのように今彼とのお付き合いも再開して弊社の役員としても力をお借りしています。

その後は、香り雑貨というカテゴリーを確立させるべく日夜新商品の開発に明け暮れる日々が続きました。

エッセンシャルパールビーズに続き、セントジェル(芳香+消臭機能のジェル)

香りを楽しむルームスプレーや、途中から香りが変化するお香(移ろい香)などなど。

その結果、忙しくて教室は続けられなくなり一旦休止することになったのです。


次章へ続く・・・・