皆さん、こんにちは。
フレグランスメーカーのアート・ラボがお届けする【フレグランス・ラボ通信】今回も魅力的な花たちのお話です。
第11回に引き続きESSENCE & FLEUR Vol.6として「フリージア」の香りについてお話したいと思います。
フリージアの分類と香気について
フリージアはアヤメ科フリージア属に分類される植物で、菖蒲(ショウブ)やスイセンに似ている事から、日本では「菖蒲スイセン」とも呼ばれています。
葉がまっすぐ垂直に伸びる姿はまさにアヤメ科の特徴で、白色や黄色の花びらをつけます。
開花時期は3月~4月頃で、春の季節にふさわしい甘く強い香りを放ちます。
白色の花はキンモクセイのように甘く、黄色の花は若々しい甘酸っぱさが印象的で、「あどけなさ」や「純潔」といったフリージアの花言葉は、香りのイメージからきているのだそうです。
ちなみに、初めてフリージアを発見したのはエクロン(Christian Friedrich Ecklon)というデンマークの植物学者なのですが、親友であったドイツの医師フレーゼに敬意を込めて、「フリージア(Freesia)」と献名したことが名前の由来になります。
品種の数は150種類以上!?
フリージアは南アフリカが原産で、10種類ほどが原種として自生していますが、オランダを中心とするヨーロッパで品種改良がおこなわれ、現在では150種類以上の園芸品種が存在しています。
花の色も白色や黄色に限らず、ピンクや紫など多彩ですが、原種ほど香りは強くありません。
園芸品種は原種より背丈や花が大きく育つ特徴がありますが、これは、オランダでは大きく重い花ほど価値があると考えられているからだそうです。
フリージアは日本でも栽培されていて、国内最大の産地が東京・八丈島です。
毎年、春分の日から4月上旬にかけて、八丈島では「八丈島フリージアまつり」が開催されます。
白、黄、ピンク、紫などの彩りあふれるフリージアが約35万本咲き乱れるその景色は、まさに春の圧巻です。
景色と香りに包まれて、そこにいるだけで癒されそうですよね。
フリージアの精油はとても貴重
一般的に「フリージアの香り」として販売されている商品は、精油(天然香料)ではなく合成香料が使われている場合が多いです。
これは、フリージアの花の香りはとても繊細で、抽出できる精油がごく僅かのためです。
とても貴重な精油なので、天然にこだわる香水などを除いて商業的に扱う事が難しいのですね。
世界最古の薬局として長い歴史を持つブランド「サンタ・マリア・ノヴェッラ」が販売している「オーデコロン フリージア」は、その名の通り天然原料にこだわったフリージアのシングルフローラルノートタイプの香水です。
ナチュラルなフリージアを存分に堪能できる癒しの香りとして多くの愛用者を魅了しているのでしょう。
近年では、フリージアの香りを再現したフレグランスが多く見られるようになりましたので、私たちにとっても身近な香りになってきたのではと思います。
また、ルームフレグランスとしてフリージアの入った香りを下記にご紹介しますので、お部屋で楽しみたい方には是非こちらもお試しください。
それでは次回の「香りのエトセトラ」でまたお会いしましょう!