皆さん、こんにちは。
フレグランスメーカーのアート・ラボがお届けする【フレグランス・ラボ通信】今回も魅力的な花たちのお話です。
第8回に引き続きESSENCE & FLEUR Vol.3として「ミュゲ」のお花についてお話したいと思います。
ミュゲの分類と香気について
ミュゲ(Muguet)はフランス語の呼び名なので馴染みが薄い方もいらっしゃるかと思いますが、日本語ではスズラン(鈴蘭)と呼びます。
日本でもいろいろな場所で自生していますので、よく見かける身近なお花ですね。
ちなみに、英語ではリリーオブザバレー(Lily of the valley)と呼びます。
スズラン亜科スズラン属に属する多年草の一種で、5月から初夏にかけて見頃を迎えるお花です。
写真のように、白く小さい鈴のような可愛らしい形が特徴的です。
その香りは、ほんのりグリーンを帯びた透明感のある香りで、私は清楚・上品といった言葉がぴったりだと感じます。
多くの人に好まれるような香りなのではないでしょうか。
ミュゲの香料は精油ではない?
ミュゲはローズ、ジャスミンに並んで3大フローラルと呼ばれているほど、フローラル調の香水にはよく使われています。
ところが、ミュゲの香料に精油が使われることはほぼありません。
天然のミュゲから精油を抽出すると、ミュゲ本来の香りがなくなってしまい、あの清楚な香りが再現できないのです。
そんな背景もあり、20世紀初頭に「ヒドロキシシトロネラール」という、ミュゲ調の匂いを持つ合成香料が開発されます。
その後も天然のミュゲの香りを再現すべく、「リリアール」や「リラール」などの様々な合成香料が、各香料会社から生まれたのです。
世界中の調香師がこれらの合成香料を組み合わせて、それぞれが思い描くミュゲの香りを再現しているのです。
幸せが訪れるお花
みなさんは「ミュゲの日(jour de muguet)」という日がある事をご存知でしょうか。
毎年5月1日は「ミュゲの日」として、フランスでは家族や友人、愛する人に日ごろの感謝や想いを込めてミュゲを贈ります。
そしてミュゲの花を贈られた人には幸せが訪れると言われています。
この起源は、1591年5月1日にシャルル9世のもとへ、ミュゲが贈られた事に由来します。
ミュゲをプレゼントされたシャルル9世は大変喜んで、翌年から毎年5月1日になると宮廷でミュゲを贈るようになったそうです。
フランスの香水会社ゲランは、この「ミュゲの日」にちなんで毎年5月1日に数量限定で「ミュゲ」という香水を販売しています。
グリーンフローラルな香調で、春の訪れを感じるようなミュゲらしい癒しの香りだったと記憶しています。
最近の研究では、ミュゲの香りには、作業ミスを減らし疲れを緩和させる作用が期待できるという結果報告もあります。
大切な人への贈り物としてはもちろん、長時間デスクワークするような職場の方へも、ぜひ一度手に取って頂きたい香りです。
また、ルームフレグランスとしてミュゲの入った香りを下記にご紹介しますので、お部屋で楽しみたい方には是非こちらもお試しください。
それでは次回の「香りのエトセトラ」でまたお会いしましょう!