皆さん、こんにちは。
フレグランスメーカーのアート・ラボがお届けする【フレグランス・ラボ通信】第6回目は、「ディフューザー」の意味とその使い方についてのお話です。
ステイホームによる、おうち時間の増加
最近では、コロナ禍によって「おうち時間」が増えたこともありルームフレグランスにあまり関心がなかった方でも、「お部屋の空気が気になっていて、リフレッシュできる香りが欲しい」とか「海外へ行けなくなったので、気分だけでもパリにいるようなそんな香りで部屋を満たしたい」などと、気分転換や安らぎを求めてフレグランスを買われる方も増えてきました。
今回は、そんなルームフレグランスの初心者の方に向けて、市販のリードディフューザーの説明とその有効的な使い方についてお話ししたいと思います。
リードディフューザー(REED DIFFUSER)の意味
さて、巷で随分と認知さてきたこの香りアイテム「リードディフューザー(REED DIFFUSER)」ですが、なぜそのような名称なのか案外知らない方もおられるのではないでしょうか。
ディフューザー(DIFFUSER)の「diffuse」とは、拡散という意味があり、ここでは「香りを拡散させるもの」という意味合いで使われています。そして、リード(REED)は「葦(よし)(あし)」という意味で瓶の上に挿すスティックのをさしています。
使用されるスティックは他にも、籐製・竹製・藤製・ファイバーロッド製など様々な素材がありますが、すべてを総称してリード(REED)という名で記されています。
リードスティック について
オイルを吸い上げるために使うこのスティックには、下記のような材質があるのですが、その大半のものは、ラタン「籐(とう)」になります。
1.籐(とう・ラタン)
2.葦(リード)
3.竹(バンブー)
4.藤(ウィステリア)
5.ファイバーロッド(化学繊維の棒)
リードスティックは、容器の中のフレグランスオイルを吸い上げて空間に香料を揮発・拡散させるためにあるのですが、草や花が茎から水を吸い上げる仕組みと同じです。
これらのスティックは内部が多孔質状(隙間がいっぱいある状態)になっており、毛細管現象によって吸いあがってくる仕組みです。
ディフューザー・選び方 について
<アルコール入りとノンアルコール>
一方、ディフューザーのガラス容器には、香料とエタノールなどのアルコールが入っています。
このアルコールは、揮発性が高いので溶液のなかの香料成分をリードスティックからよりよく吸い上げさせるためにあります。
そのため、直に液の香りを嗅ぐとアルコール臭で鼻にツンとくる刺激があります。
また、アルコール含有率が高いと発散性能も高いので、香り立ちはいいと言えます。
しかし、それだけ揮発スピードも速いため、香りは長もちしません。
筆者の経験ですと、100mLで平均3週間から1か月ほどです。
(注:容器の形状や香料成分、部屋の環境などによって変わります。)
また、ノンアルコールのディフューザーもありますが、その場合でも香料成分を拡散させるため揮発性のある溶剤を混合させているのですが、エタノールなどのアルコールに比べると揮発性は少し弱いため、その吸い上げの性能もすこし劣ります。
芳香性を高めたい場合には、ファイバーロッドのように吸い上げやすいスティックに変えるか、スティックの上下をさかさまにして入れ替えたり、新しいスティックに早めに取り換えたりすることをお勧めします。
これはスティックの中が目詰まりを起こすと吸い上げが悪くなるからです。
中性洗剤などで良く洗って乾燥させれば使えなくはないのですが、オイルの成分が残っていたり、乾燥がしっかり出来ていなかったりすると吸いあがりません。
市販でスティックのみ安価で別売しているものはたくさんありますので、新たに購入することをお勧めいたします。
また、容器に入っているオイルが少なくなってくると、液面が下がってくるためスティックの上の方までオイルを吸い上げるには、より強く引き上げる力が必要となります。
そのためアルコールが入っていないディフューザーの方がオイルの減り方が遅くなり、長い期間オイルが残留しやすくなるのです。
芳香期間は長くはなりますが芳香力は最初よりも弱くなります。
強い芳香が苦手な方には、ほのかに香る程度で長持ちするのでお勧めですが、もっと香り立ちの良い方がお好みの場合には、物足りなさを感じるでしょう。
市販のディフューザーであれば、パッケージの裏面表示のところをよく読んでください。
そこにアルコールとかエタノールなどの表記が無いようであればノン・アルコールということです。
「アルコール含有とノンアルコール」のメリットとデメリットをよく知っておくとディフューザーの選び方で迷わずに済みますね。
天然由来のアルコール について
天然由来のアルコールは、一般的にサトウキビ、テンサイなどの糖質原料やサツマイモ、トウモロコシ、麦などのでんぷん質の原料から作られています。
地場で採れる農作物を原料としてつくられているのですが、粉砕・蒸煮・糖化・発酵・蒸留という工程を経て出来上がります。
この発酵アルコールはその大半が飲食料品として使われています。
近年では、海外で農作物から生産された粗留アルコール(不純物の混ざったアルコール)を原料として蒸留装置で不純物を取り除いて蒸溜された純度の高いアルコールも生産されています。
弊社でもHPシリーズのディフューザーにはこの天然由来のアルコールを使用しています。
第6回の「香りのエトセトラ」はいかがでしたでしょうか?
今回は、おうち時間を快適に過ごすために利用する人が増えている「リードディフューザー」についてお話いたしました。
次回第7回目の「香りのエトセトラ」も是非お読みください。